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【進撃の巨人】片翼のきみと

第151章 無二




「――――壁が破られたあの日、グリシャとともに避難所を尋ねた。グリシャは……エレンを連れて、森に消えた。雷のような光を確認して駆けつけると――――、グリシャはもうそこに姿はなく、エレン……お前が倒れていた。私はお前を寝床に戻した。――――これが、私の知る全てだ。」



「……それだけ……ですか?他にはなにも……。」





話を聞いて、エレンが呆然と問う。

もっと重要な何かを知っていると期待していたのだろう。

珍しく苛立った口調で口を開いたのは、ハンジさんだった。





「……あなたほどの経験豊富な調査兵がこの訓練所に退いた本当の理由がわかりました。成果を上げられずに死んでいった部下への贖罪……ではなく、他の者に対する負い目や劣等感……自分が特別じゃないとかどうとかいった……そんな幼稚な理由で現実から逃げてここにいる。」





――――ハンジさんが、怒ってる。

それをリヴァイ兵士長が窘めた。





「………よせハンジ。」



「この情報が役に立つか立たないかをあんたが決めなくていいんだ。あんたの劣等感なんかと比べるなよ。個を捨てて公に心臓を捧げるとはそういうことだろ?」



「――――やめてくださいハンジさん。」





熱くなってキース教官を責めるハンジさんに、エレンは静かに言葉を呈した。その表情は――――……ひどく辛そうだ。

まるで……そう、キース教官と同じように。


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