第13章 戦友
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開門から約十六時間後の早朝に、調査兵団は帰還した。
私の目は正直で、数十人いるはずの兵士の中から、すぐさまリヴァイさんを見つけ出し、安堵の涙が零れた。
そして中央にはエルヴィン団長、後ろにハンジさん……ミケさん……幹部の皆さんに、怪我はなさそうだ。
けれど、出発時と比べると帰還した兵士が随分少ないことは一目瞭然だった。中央の荷馬車に、包帯で簡易処置をされているのであろう負傷者が多数いることがわかった。
アルル、リンファ、サッシュさん…3人の姿は見つけられなかったが、無事だろうか………。騒ぐ胸を押さえつつ、それよりも負傷者の手当に集中するため、髪を結いなおして処置室に向かった。
すべての処置が終わったころ、時計は正午を指していた。
処置できて一命を取り止めたのは十名足らず。
数名は手の施しようがなく、私たち医師の目の前で息を引き取った。
そして数名は、帰還した時点で亡くなっていた。
想像以上の惨状に、私は呆然としていた。医療班が編成できたら………腕や足を失った兵士に、より適切な処置がその場で出来ていたら……数名でも、命は救えたかもしれない。
そして、実はほんの少しほっとしていた。
この中に、アルルも、リンファも、サッシュさんもいなかった。きっと無事で、今頃部屋に戻っているかもしれない。
私は急ぎ足で宿舎の部屋に戻った。