第13章 戦友
俺は呆然とするロキのところへ歩み寄った。
ロキは班長になって数か月。経験も豊富で優れた班長だ。
それ故に、目の前で部下を死なせたことがなかった。
「………アルル・ザガート新兵。討伐数1。………奇行種を相手に勇敢に戦い、班長を守った。………見事だった。」
「あ………あぁぁ………っ!!!」
ロキは地面に伏したまま叫び続けた。
俺はアルルの亡骸に近づき、その胸元から自由の翼のエンブレムを切り取った。
その時、胸のポケットに一枚の紙が入っていることに気付き、その紙を取り出す。血にまみれたその紙は、手紙のようだった。エンブレムと共に手紙をポケットにしまい、勇敢だった兵士に対して敬礼をした。
「お前の……大切な友人に、お前は勇敢だったと、必ず伝える。」
日没。夜営の設営完了の煙弾が放たれ、俺たちは集落に戻った。
束の間の休息に安堵の表情を見せる兵士達の中、辺りを見回しながら歩き回るリンファの姿があった。
「リンファ。」
「…………兵士長………。」
「アルルは、死んだ。」
「―――――――――――……………。」
「俺が見届けた。――――――勇敢だった。詳しくは、ナナにも聞かせる必要がある。帰還してから、話そう。」
リンファが呆然と立ち尽くす中、俺はエルヴィンの元に赴いた。
奴の指示のもと、集落の状態を記録させていく。ここをウォール・マリア奪還計画のひとつの拠点にするためだ。
手分けして数時間かけて記録をしたあと闇の中で帰路につき、なんとか日が再び昇るまでに帰還した。