第149章 縁
ぎゃあぎゃあと賑やかに騒ぐ彼らを横に、微笑ましくて心が安らぐなぁと思いつつ、サシャから貰ったパンと少しのスープを口に運ぶ。
栄養………病気の進行に関係あるのだろうけど……一体、何がこの病に効くのか……ぼんやりと考えながら、持参した紙袋の中から錠剤を取り出した。
「――――ナナさん、薬、ですか……?どこか………悪いんですか……?」
私の挙動に気付いたアルミンが、気を遣いつつも尋ねてきた。
「――――ううん。お守りみたいなものなの。だからちゃんと毎日飲むようにしてる。」
「――――お守り……?」
はて、と言った顔をしてアルミンは首を傾げた。
そう、賢いこの子でも意味を計れないように話した。
包み紙を開けて錠剤を取り出して――――ぬるい水で、それを流し込んだ。
以前に比べると随分食べれるようになったな、と満足げに手元の空いた食器を下げようと腰を上げると、エレンが驚いたように私に言った。
「えっ、おい全然食ってないよな……?」
「えっ、食べたよ?スープと……サシャにもらったパン。」
「いやいや……少なすぎるだろ。もっと食えよ……倒れるぞ……?」
ここ最近、エレンには叱られてばかりだ。
そして病のことも伏せているけれど……私のことはよく見てくれているから……いつか気付いてしまうかもしれない。
「――――甘い物に目がなくてね。」
「は?」
「あとは大好きなお菓子を食べるために、お腹を残してるの。」
ひひひ、と子供のように笑って見せる。