第13章 戦友
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ロキの班から紫の信煙弾が放たれた。
赤、黒、に続き紫。
ということは、少なくとも巨人2体以上、うち奇行種を含んでいるということだ。エルヴィンと目を合わせ、俺は隊を離脱してロキ班の応援に向かって駆けた。
そこには、1体を仕留めた後、ニナとエルド、オリバーがもう1体の相手をする様子が見えた。
その先―――――――――奇行種の背中で、ガスを思い切りふかして項に到達し、項を削ごうとブレードを振り上げるアルルの姿だった。
削ぎ落とされた肉片と、吹き出す体液。
だが――――――
「上だ!!!!!」
奇行種が死ぬ間際、後ろ手で項にたかる虫を払うように、手を叩き付けた。
巨人のそれとは異なり蒸発することのない赤い血が、奇行種の指の隙間から噴き出した。
「アルル――――――ッ!!!!」
叫ぶロキを後に、俺はエルドたちのほうを振り返る。
エルドは優秀だ。
だが、何が起こるかわからない。
「ぐぁぁあああっ!!!」
巨人が、まさにエルドを捕らえ口を大きく開けていた。
「――――――――クソがっ……!」
俺は最速で巨人の背後に近づき、事もなくその項を削ぎ落とした。
「………リヴァイ、兵士、ちょ………。」
「喋るな。よく耐えた。ニナ、オリバー、無事か?」
「は、はいっ………!」
「エルドを頼む。このまま俺がこの班につく。もうすぐ日が暮れる。何としても持ちこたえろ。」