第149章 縁
「……これを使用する際はどんな状況下かわからない。つまり現場の判断も含めて君に託すことになりそうだ。………状況によっては誰に使用するべきか、君が決めることになる。任せてもいいか?」
―――――いつになくしおらしい。
何かを予感しているのか………エルヴィンが言った『誰に使用すべきか』。そこに、当たり前に自分を含んでやがる。
そして―――――ナナも。
ならば聞いておかねぇとな?
お前が―――――夢の先にどんな展望を見ているのか。
「――――お前の夢ってのが叶ったら……その後はどうする。」
エルヴィンは俺がふるいにかけるための材料を得ようとしていることに気付いた顔をした。
「……それは、分からない。叶えてみないことにはな。」
「―――――そうか。わかった。了解だ。」
奴のその顔は、いつになく穏やかだった。
そしてナナもまたそんなエルヴィンの様子を見て、ふ、と柔らかく微かに笑んだ。
俺は静かに承諾して、テーブルの上で視線を集めているその巨人薬が入った小箱を預かった。