第149章 縁
「――――して、瓶の中身は解明できそうかの?」
「それがどうも……我々の技術ではこれ以上探ることはできないようです。」
ハンジが兵団の研究部に解析依頼を出したが――――、どうにも手も足もでないまま返されたそうだ。
「エレンとヒストリアから聞いたように人間の脊髄液由来の成分ではあるようなのですが……この液体は空気に触れるとたちまち気化してしまい、分析は困難です。――――我々とは比較にならないほど高度な代物です。レイス家が作ったのだとしたら、一体どうやって……。」
――――誰も気づいちゃいねぇだろうが、ナナとエルヴィンは同じ顔をしてやがった。何かを思案するような、それでいて僅かに期待の火も入り混じったその表情は……“あらゆる技術が先進している外の世界”の存在を期待している顔だ。
「……ならば、下手に扱うよりも当初の目的に使用するほかなかろう。」
「――――すると誰に委ねる?エルヴィン、君か?」
老兵2人がエルヴィンのほうをチラリと見た。エルヴィンは自分が管理すると言い出すと思っていた。が、その返答は意外なものだった。
「いえ……私は兵士としては手負いの身です。この箱は―――――最も生存率の高い優れた兵士に委ねるべきかと。――――リヴァイ、引き受けてくれるか?」
「………任務なら命令すればいい。なぜそんなことを聞く?」
エルヴィンは――――、俺にしか分からねぇだろう微かな笑みを含んだ顔で、それらしい理由を並べた。