第149章 縁
「すまないエレン……自分の発想に夢中になってしまって……。」
「謝らないでくださいよハンジさん。俺がちょっと疲れたくらい何だって言うんですか。こんなすごい武器ができたんですよ?もっと増やしましょう……!誰も食われずに巨人を殺せるなんて……あとはウォール・マリアさえ塞げば……こいつで巨人を減らし続けて……ウォール・マリアから巨人を一掃できる。」
「………エレン……。」
エレンから強い意志を感じる。
使命感に燃えているのか、それとも今まで自分のために散った仲間に報いる責任感か……そのどちらもか。
15の少年にしては、なんて酷な生き方だろうと辛くなる。
「早く武器を揃えて行きましょう。シガンシナ区に。」
エレンの言葉通り、ウォール・マリア奪還への手筈は着実にひとつずつ、整いつつある。
この装置でウォール・マリア内の巨人の数を減らしつつ、礼拝堂の地下から得た光る鉱石を使って、アルミンが以前発案した通り、巨人の寝静まった夜間に馬を駆りウォール・マリアを目指すための順路も開拓中だ。
そして、ハンジさんが練っていた新しい武器は、中央憲兵が隠していた技術によりいよいよ実現間近。……ライナーの鎧をも打ち砕くための破壊力を持った……“雷槍”という。
その時が近づくことが、嬉しくもあり………怖いのも事実だ。相手が一筋縄でいくわけがない。
また――――大切な誰かを、失うかもしれない。
いや、今度こそ私の番かもしれない。
それは怖くない。
病で1人伏して死ぬなら、みんなの側で――――エルヴィンが望んだとおり、彼の腕の中で息絶えるなら、それもいい。
その約束を果たせたら―――――、エルヴィンはきっと私が死んでも、進み続けてくれる。
そしていつか、この世界の真実に辿り着いて―――――海を越えて、外の世界に羽ばたける。
その糧になれるなら、私は死ぬとしても本望だ。