第149章 縁
「やったぞ!!!12m級撃破!!!!」
ハンジさんをはじめとした観覧者から、歓声が上がった。私ももちろん、喜ばしい事だと思う。だって兵士が死ぬことなく、巨人を倒して行けるなら……こんな素晴らしいことはない。
――――けれど……ここに、コニーがいなくて良かった。
今撃破した巨人が、ラガコ村の……コニーの大切な人である可能性は0じゃない。まだ仮説の段階だけれど、私は巨人の正体は元人間であることがほぼ間違いないと思っている。
だから、祈らずにいられなかった。
「――――……ご冥福を………。ごめんなさい。私たちには私たちの言い分が、あるんです……。」
歓声の中一人、静かに目を閉じて呟く。その横で、エレンがガクッと膝をついた。
「エレン?!」
しゃがみ込んだエレンの足元に、血が。
――――鼻血だ、出血がひどい。
すぐにエレンの横にいたリヴァイ兵士長がハンカチを差し出してくれ、それで押さえる。真っ白なハンカチがすぐに血の色に染まってしまうほど、出血量が多い。
「――――エレン?!」
ハンジさんもそれに気付いてエレンに駆け寄ってくれた。
「――――おそらく巨人の力を酷使しすぎたんだろ。このところ硬質化の実験ばかりだったからな。」
リヴァイ兵士長はもかがんで、エレンに目線を合わせる形で寄り添ってくれる。
「エレン、ハンカチで鼻の横を押さえてみて……普通ならそれで止められるんだけど……。」
エレンはこくりと小さく頷いて、青い顔を俯かせた。
「――――こいつの生み出す岩が無限にあるとは思わない方がいい。こいつの身も含めてな。」
「…………!」
ハンジさんがハッとしたように、エレンに申し訳ないと眉を下げて目を合わせた。