第148章 其々 ※
「ねぇエレン、硬質化を発動するとき、頭の中では何を描いているの?」
「え?」
「例えば、『こんな風に、こんな形に固めよう。』とか、描いたらできちゃうものなの?」
「………そう言えば……考えたことはないな。……ちょっと、次やってみようかな。」
考えなくてもできる……無意識に形成するんだ……人が筋肉を動かすのと似たようなものなのかな……ますます不思議で、きっと私はハンジさんと同じく興味と好奇心に目を輝かせていたに違いない。
でもそれが、エレンにプレッシャーになりすぎてはいけない。
エレンもまた、自分のために失われた命に対して罪悪感を抱いている。だから……身を削って、頑張りすぎてしまう。
――――私と一緒。リヴァイさんに、叱ってもらったっけ……。
だから私がちゃんとエレンを見てる。無理をし過ぎないように、自己犠牲をしすぎないように。エレンの側でエレンを見つめる私を、少し離れたところからリヴァイ兵士長は見ていた。
少しの休憩を挟んでから、エレンは再度巨人化し、今度はハンジさんにも相談の上で、エレンが“自分が作ろうと思った形状”の硬質化が可能なのかどうか試した。
――――リヴァイ兵士長いわく、ロッド・レイスの礼拝堂が崩落した時――――、エレンが見事なまでの……まるで建造物の構造でも知りえていたかのような、頑丈な建造物を模した柱を精製し、みんなを守ったと言う。
それもとても興味深い。
――――エレンにそんな知識はないはずだから……エレンに受け継がれた何かが――――……無意識にそのイメージを描いたのだろうか。
そしてエレンはやはり、想像どおり頭で描いたおおよその形状に硬質化を形成できるようだった。
これに、ハンジさんは大興奮だった。