第147章 同憂
他にも多くの変化があった。
王政がひた隠しにしていた、その進化を阻止していた技術の数々が公になった。
私はまだ見たことがないままなのだけれど、中央憲兵の対人立体機動装置というものにも応用されている技術やそれ以上のものも。
――――いつかハンジさんが描いていた新兵器も、この技術を応用すれば造作なく作れそうで、ハンジさんはエレンの能力の実験や新兵器の開発に昼夜問わずとっても忙しそうだ。
私も体力の無理がないように、とは重々言われているので、時折お手伝いをさせてもらっている。
そしてロッド・レイスの礼拝堂地下から見つかった発光する鉱石の力も大きい。
電気も使わずに光を放てるその鉱石は住民にとって非常に重宝され、特に工業地帯では夜間作業も難なく取り入れることができるようになり、あらゆるものの生産性が大きく向上し、更には物価も下がったことで人々は少し生きやすくなって―――――街を行きかう人々に、徐々に笑顔が戻り始めた。
「――――あ、ナナ。調子はどう?」
少しづつ食べられるようになってきた夕食を終えて、お風呂に入るための用意をしようと自室に戻る廊下を歩いていると、後ろから呼び止められた。
「ハンジさん。………今のハンジさんより良いかもしれないです。」
「えっ……そんなに疲れてる?私。」
「疲れてます。目の下の隈もひどいですよ……あと……またここ数日お風呂入ってないですね?」
ハンジさんが多忙なのはわかるけど……でも、目に見えて疲れが出るほど体を酷使するのはよくない。寝る間も惜しんで日夜研究に精を出し過ぎだ。
「ナナさん……そうなんです、分隊長を止めてください……。」
後ろから付いて来たモブリットさんは、何やら多数の試作品のような武器を抱えながらため息をついた。