• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第147章 同憂




「―――イザベルも、地下街でボロボロの状態で転がってた。」



「……そう、だったのですか……。」



「まだ一人で生きて行けもしねぇのに、世の中に一人で放り出されるガキが……この世界には多すぎる。」



「……………。」





私が王都で不自由なく過ごしているその間、彼はその目で、どんな過酷な世界を見て来たのだろう。私はただ、その黒い瞳を見つめてその過去の回想に耳を傾けた。





「運よく拾って貰えればいいが――――、そのほとんどが、男なら奴隷に成り下がり、女ならもっとクソだ……体を売って身を削って生きることになる。――――そんなガキは、少ないに越したことはない。」



「………はい。」





ケニーさんがいなければ、そもそもリヴァイさんも……今こうしてここにいなかったかもしれない。

そしてリヴァイさんがいなければ、イザベルさんも――――外の大きな空をその目に映すことなく、倒れていたかもしれない。





「――――リヴァイさんは子どもと子猫には特に優しいんですね。」



「――――お前のせいだろうな。こうなったのは。」



「………まさか。持って生まれたものですよ。お母様からの遺伝かもしれないです。」



「――――………どうだろうな。」





どうだろうな、と言いつつもその手は私を撫でて――――、その目は優しく細められた。



もしも己惚れて良くて……

私の中の多くをあなたも形作っているように、あなたを形作るものに私が関われているとしたら―――――





私の生きた意味はそれだけでも十分あったんじゃないかとすら、思う。





/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp