第147章 同憂
「――――聞かない方がよければ、なかったことにするのですが。」
「あ?」
「身寄りのない子供たちを育てるための孤児院設立はヒストリア女王の意向が強いとのことでしたが、そこにこの……地下街の現状を訴えたうえで……いえ、地下街だけじゃなく、やるならこの世界すべての困っている子供たちに生きて学べる場を設けようと、さらに規模の大きなものに後押ししようとしているのは……リヴァイさんのこれまでの経験から来ているのですか?」
「――――……そうだな。」
ワーナーさんの元に通っていた時も、リヴァイさんと彼の生家を尋ねた時にも地下街の様子は気になっていた。
物乞いをする子供たち、犯罪に手を染める子供たち。
私はそれを、仕方ないことだと目を逸らした。
目を逸らさずに、手を差し伸べようとするリヴァイ兵士長のことを、心から誇らしく思う。
いつだってそうだ。
この人は――――その巨大になりすぎた“守るべきもの”を、決して大きなくくりでしか見ないのではなく――――――、その中の一人ひとりを見て、憂いて、手を差し伸べようとする。
「………かなわないです。いつもリヴァイさんは、私の想像よりもずっと凄い。」
「………大したことじゃねえだろ。エルヴィンが革命を起こし、運よく次の女王がヒストリアだったから実現できる、その好機を使うまでだ。――――俺の力じゃない。」
「……ううん、違う……。あなたは、凄いんです。」
心からそう思う。
リヴァイさんは、ほんの僅かに、話してくれた。