第147章 同憂
「リヴァイ兵士長、クッキー、ありがとうございます。」
「……気に入ったならいい。」
「一緒に食べませんか?」
「――――お前が食えと言うなら、食ってみようか?」
その目線と言葉に心臓が跳ねた。
あの日みたいに――――……口の中で解けたクッキーを唇越しに奪われてしまう気がした。
「ど、どうぞ!」
「――――ちっ。」
私がクッキーをリヴァイさんの口元に持って行くと、小さく舌打ちをして私の手を握ってクッキーを食べた。
「――――私の手から食べるリヴァイさんも、悪くないですね。」
「――――あ?」
ふふ、と笑うと、リヴァイさんも僅かに、笑った。
「――――そう言えばこれから、本格的にエレンの硬質化の能力を使いこなすための実験が始まる。お前の体調が安定していたら、エレンの身体のことも診てやれ。――――以前実験した時も相当な消耗だった。」
「はい……!」
「――――エレンも、お前がいりゃ心強いだろう。」
「嬉しいです。」
「――――いつの間にお前は、こんなに調査兵団に不可欠な存在になってたんだろうな。」
「――――………。」
リヴァイさんが小さくため息をつきながら、切れ長の魅力的な目でちらりと私を見る。
「おかげで俺は心労ばかりだ。」
「………ふふっ……、ごめんなさい、でも……嬉しい………。」
なんでもない言葉なのに。
とてもとても、私の心を強くしてくれる。
リヴァイさんもまたふっと息を吐いて、紅茶をすすった。