第147章 同憂
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ロイのこれまでの頑張りが功を奏した。
兵団内でも、ヒストリア女王も彼の人類を救うための献身を高く評価し、旧体制への関与はあれども、大きな処罰を受けることなく兵団監視下で引き続き疫病の特効薬・予防薬の精製や研究に携わることで合意した。
ようやくロイの拘束が解け、久しぶりに姉弟の再開を果たしたナナがロイに嬉しそうに抱きつく姿を見て、ほっとした。
そして――――長くナナに触れていなかった欲をここぞとばかりにぶつけたことに、心配をしていたが……今朝も顔色良く目覚めてきたものだから、たまらずまたナナ を強く抱きしめて――――腕の中で鳴る小さな鼓動にを確かめると、これまでの胸の閊えがとれるほどの心地がして………自分がどれほどナナという存在によりかかっているのかと呆れる。
「さて……明日は今後のウォール・マリア奪還までの計画と……孤児院設立の件か……リヴァイが珍しく立案したいことがあると言っていたな、あとで聞いてみるか……。」
自室に戻り資料に目を通していると、コンコンと強めの音で扉が鳴った。
「はい。」
「義兄さん……。」
思わぬ来客だ。昏く沈んだロイの声に、おおよその話題の想像をしながら扉を開けた。
「――――どうした?ロイ。」
「話があって………忙しいですか?今……。」
「……構わないよ。」
扉を開けて部屋に通し、椅子に座らせる。
その顔はなんとも言い難い複雑な表情をしていて、ナナの病気のことか、これからのことか……いや、ロイが取り乱すのは必ずナナのことだ。