第147章 同憂
「――――義兄さんは、義兄さんは納得してるの……?!」
「してるよ。」
「……っ……、じゃああの、チビは………?!」
「――――私の愛してる人をチビって言うのやめて。………リヴァイさんも、納得してくれた。」
「――――っ………!」
ロイが、ふるふると怒りで小さく震える。
次の一手を考えるみたいに、頭の中で私を死なせないための算段を色々と描いているみたいだ。
「嫌だ……!僕は、嫌だ……、姉さんが死ぬかもしれないなんて……!」
「うん……でもほら、壁外調査にも出ないし、訓練もしないって……エルヴィンとの約束だから。戦いの最前線には出ないよ。」
「――――それは、そう――――……!」
ロイは何かを言いかけて、ハッとした顔で私から目を逸らした。
「――――……ねぇ、何を言いかけたの……?」
「………なんでもない……!」
ロイが尋常じゃなく焦っている。
何かをぐるぐると考えて、どうしよう、と目を泳がせている。
――――そんな顔を、見たくなかった。
でも、最後まで信じるって決めたから……最愛の、弟だもん………。
「そうだロイ、ロイが処方してくれた薬ね、もうすぐ無くなりそうだから――――……王都に戻ったら、また頼んでもいい?」
「――――………わ、かった………。」
「………ありがとう。」
ロイは一点を見つめて、これからのことを考えているようだった。
「私は出るから、ここに居ていいよ。ゆっくり休んでて。」
どうも同じ空間に居られなくて、部屋を出た。扉を閉めて――――、とん、と扉に背を預ける。
「………ロイ、ごめんね………。」
彼に届かない謝罪の言葉を告げて、私は部屋を離れた。