第13章 戦友
私は馬に跨り、合図と共に数キロ離れた指定の場所へ向かった。
運よく移動中に巨人の襲撃はなく、あとは日が暮れるのを待つだけだ。このまま何事もなく今日を終えたい。そう願いながら周囲を警戒する。
すると、遠くを見つめたままニナさんが話しかけてきた。
「アルル。」
「はい。」
「さっきはありがとう………だけど、もうあんな無茶はしないで。巨人を見つけたら、何より信煙弾を撃つのが先よ。私たちが全滅したら……何の前触れもなく巨人が本隊を急襲することになってしまうんだから。」
「………はい。」
「そうだぞ、アルル。班長の指示に従え。」
「はい…………。」
私は少し、しゅんとうなだれた。
「…………だが、お前の勇気には驚いた。そして、命を助けられたのは事実だ。礼を言うよ。」
ロキ班長が、笑いかけてくれる。
私は、込み上げる涙をこらえた。
「ロキ班、全員揃って帰還するぞ。」
「はい………!」
夕日が辺りを赤く染め始めた。
夜になれば、巨人は動けなくなる。
もう少し、持ちこたえれば………!と思ったその時に限って、奴らは現れる。3体の巨人が、目に入った。
私はすぐに信煙弾を放った。
「全員、戦闘態勢!!!」
ロキ班長の号令で、巨人に向き直る。今度こそ、倒して見せる。
「待て、1体は………奇行種だ!!クソっ………!4人で3体、うち1体が奇行種とは、ついてねぇ………!」
ロキ班長の焦りに、隊に動揺が広がる。
そんな中、エルドさんは冷静に黒と紫の信煙弾を放った。