第13章 戦友
「………夜営設営班も動き出したな。私は班に戻るよ。アルル、無茶、するなよ。」
「うん………、リンファさん、生きて、帰ろうね………!」
リンファさんは、いつもの涼し気な目元に少しの不安を浮かばせたまま、少しだけ笑った。
その笑顔が、私が最後に見たリンファさんの姿だった。
身体はところどころ痛むものの、荷馬車に横たわる人たちに比べれば私の怪我など軽いものだった。
私は両手で頬をパンッと叩いて気合いを入れると、荷馬車を降りてロキ隊長の元へ急いだ。
「ロキ班長!!」
「アルル!お前、手負いだろうが。」
「問題ありません!!多少の痛みはありますが、十分動けます!班に戻らせてください!」
「………だが………随分激しく地面に叩き付けられただろう。大事を取ったほうが……。」
「アルル。」
「!!」
ロキ班長の向こうから、リヴァイ兵士長の声がした。
「は!」
「班に戻るからには、足を引っ張るな。普段通りの動きができるのか?」
「問題ありません!」
私の返答に、リヴァイ兵士長は静かに頷いた。
「ロキ、アルルを班に戻せ。」
「……は!」
「ここで夜を明かすことになる。ロキ班は設営警護だろう。配置につけ。」
リヴァイ兵士長が去ろうとしたその時、私は思わずリヴァイ兵士長を呼び止めた。
「………リヴァイ兵士長。」
「なんだ。」
「ご無事で………。あなたの帰りを、私の大切な友人が待っています。」
「………誰に言ってる。俺よりも、てめぇの心配をしろ。」
「………はいっ!!」