第146章 食欲 ※
「――――この体勢は悪くないな。」
「あっ、……っ、や、っ、は、ぁ、ッふ、ぁあっ……!」
「――――ナナ、ナナ…ッ……ナナ―――……。」
あぁそうだ、ピクシス司令が見抜いた通りだ。
――――俺はこの革命を、彼女をこうして抱くために、彼女と夢を見るために、彼女の笑顔を側に置き続けるために、人類のためだと大義を振りかざして実行した。
元々俺はそんな大層な人間じゃない。
大層な人間に見えるように取り繕ってきただけだ。
そしてそれはあのザックレー総統も同じだった。
ふ、と笑みが零れる。
――――所詮人は自身の欲の為に争う。
冨や名声、権力、夢……女。
いいじゃないか。
俺からしてみれば、“人類のため”なんて崇高な理念よりもよっぽど生々しくて、おぞましくて――――よっぽど、人間らしいと思う。
「――――俺は、つくづく……人の上に立ってはいけない人間、だな……。」
「………え………?ぁ、んっ………!」
「――――こんなに欲望に忠実に君を抱いてる。しかも、兵団本部の一室で。」
「………それは、今さら………。」
ナナは喘ぎ声の合間に、ふふ、と笑った。意地悪く最奥をごり、と貫く。
「―――なんだって?」
「あぅっ………、~~~~ッふ、あ………。」
顎を反らせて半開きの唇から嬌声が漏れる。
「なんて言った?なぁナナ。」
びくびくと身体を快感に震わせるナナの耳を犯しながら奥を突き上げる。ナナは意識を保つのもやっとだという快楽に蕩けきった顔で、俺の方を振り返って言った。
「――――なんでも、完璧な……エルヴィン団長も、すてき、だけど……。」
「―――ん……?」
「…………愚かで、カッコ悪いエルヴィンを、愛してる………。」
ナナの指先が俺の頬に触れる。
――――キスをねだるように、涙目で俺を見上げる。
「――――誰がそうさせたんだ……まったく、とんだ悪女だ。」
誘われるがまま唇を合わせて、ナナの身体を全て俺で埋めるように――――でも、壊さないように。
何度も何度も、ナナを抱いた。