第13章 戦友
地面に転がる瞬間、咄嗟に受け身はとったものの、身体にはすごい衝撃が走る。
私を見た巨人2体は、ニタリと不気味な笑みを浮かべながら近づいて来る。
もう、駄目かもしれない……そう思ったその時、巨人の背後で深緑色のマントが舞った。
「ロキ班長………!」
馬で駆けつけてくれた3人が、あっという間に2体を倒した。
私は、安堵した瞬間気を失った。
しばらくして目が覚めると、エルドさんに抱えられていた。
「気がついたか。」
「は………い、すみません………。」
「新兵が無茶しやがって。……どこか折れてるかもしれねぇ。大人しくしてろよ。」
隊は、目的地であった廃墟と化した集落にたどり着いた。
夜営の準備をする班と設営警護をする班に分かれて各々がテキパキと動く。怪我人は中央の隊の荷馬車に集められ、私もそこへ連れられ、荷馬車に乗せられた。
「アルル!!!!!」
私に駆け寄って来たのは、リンファさんだった。
「リンファさん……!」
「良かった、生きてて……!怪我、したの?!」
「大丈夫です、戻れば、ナナが治してくれるから。」
私は心配させまいと微笑んだ。リンファさんはいつになく優しい目をして、私の頭を撫でてくれた。
「リンファさん、戦ったの……?」
「ああ。」
「隊の方たちも、無事だった……?」
「………新兵が、2人、食われた。」
「………………!」
やはり、甘い世界じゃないんだ。
もしかしたら、あの時ロキ班長たちがもう少し遅かったら、私も同じように食われていた………。顔が青ざめるのがわかった。
周りを見れば、荷馬車には腕がない兵士、脚がない兵士………もう、息もない兵士が横たわっている。