第144章 恋着
俺は呆れながらも、ぽつりぽつりと―――――母さんが死んでからケニーに連れられて一緒に暮らしたこと、教わったこと………ある日突然、姿を消したことを話した。
「――――あいつに俺が似ているなんて思いたくもねぇが………痛感した。敵との戦い方も、眩しいものへの焦がれ方も―――――、俺はあいつに少なからず影響されている。」
決して良い影響ではない。
教わったことも――――ナイフの振り方や脅し方、戦い方、欺き方。
人としては非人道的な数々。
それなのにナナは、俺のすぐ隣から、俺の顔を下から覗き込むように見つめて、目をきらきらさせて、とても嬉しそうに笑う。
「――――ケニーさんは、リヴァイさんの育ての親……なんですね。」
「――――半分……いや、3分の1はな。」
「あぁそうか、お母様に……ケニーさんに……ワーナーさんだ。」
ナナは嬉しそうに指折り、その面々を頭に浮かべながら微笑む。
「――――じゃあ……ケニーさんもきっと仲間想いだったのかな。」
「あ……?」
「だって、お母様からも、ワーナーさんからも“仲間”に関しては学べなかったはずでしょう?“仲間を想う”リヴァイさんのその素敵なところは、ケニーさんからの影響なのかなって思いました。…………だから、感謝しないと。」
「何にだ。」
「仲間を想う事を……私はリヴァイさんから教えてもらったから。だから……リヴァイさんにそれを教えたケニーさんにもありがとうございますって………もう、直接は言えないけれど……。心の中で、伝えます。聞いてくれるかなぁ。」
感謝、だと?
俺達の仲間の頭を吹っ飛ばし、アリシアやリーブスも殺したあいつに。