第13章 戦友
「アルル、あいつは俺達に任せろ!お前は引き続き周囲を警戒!!巨人が現れたらすぐに信煙弾で知らせろ!!!」
「は、はいっ!」
ロキ班長に言われるがまま、周囲に目を凝らす。
こんな震えが止まらない私には、それしか出来ない。
とてもじゃないけれど、活躍するなんてこと、できそうになかった。私は食い入るように、彼らの戦いを見守った。
ロキ班長とオリバーさん、ニナさんが巨人の足元で注意を引く。その隙に、高く飛び上がったエルドさんが巨人の項を狙う。
それは、一瞬だった。
巨人は大きな音と共にその場に倒れ込み、不思議なほどに一瞬でその姿は蒸気となって消え去っていった。
「やった!!!!」
すごい。私も、あんな風に巨人を倒せるだろうか。
彼らと一緒なら、怖くない気がしてきた。
と、その時。
彼らのその先に、更に2体の巨人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
「――――――――――っっ!!ロキ班長!!!うしろっ………!」
彼らは今馬にも乗っていない。
周りには、立体機動を生かせるような木々もない。
平地で隠れる場所もない。
このままでは、いくら彼らでも不利だ……!
「くっそ……このタイミングかよ……っ!!!!」
ロキ班長に、焦りの色が見える。
私は信煙弾を撃つよりも先に、3人の馬を引き連れ、2体の巨人の前に駆けだしていた。