第143章 我儘
「もう戦えないからですか……?壁外に出たら死ぬ、調査兵団に居たら病気で死ぬ、だから側にいちゃダメなんですか……?!」
「――――お前が大事だからだろうが……!」
苛立ったように俯いて、リヴァイさんは小さく言葉を発した。
「わかってる……!!」
「わかってねぇよ!!」
ガタン、と椅子を跳ね除けて立ち上がり、私の方へ歩を進める。その目に、確実な怒りと葛藤をありありと宿して――――、私の肩を強く掴んだ。
「――――俺はお前がこの世からいなくなることが、怖い………!」
まるで血でも吐きそうなほど絞り出すような声と、揺れる黒い瞳。
――――この人がこんなに怯えることがあるなんて。
「――――俺のものでなくていい。ただどこかで幸せに笑っているならそれでいい……!――――お前はそれすら、俺のそんな些細な願いすら、拒むのか……!」
叫びのようなリヴァイさんのその言葉を、私もまた大きく打ち消すように言い放った。
「―――――『生きてろ』って言ってよ!!!」
「―――――………。」
涙でぐしゃぐしゃになりながら、肩を掴んだリヴァイさんの手に手を重ねてその目を真っすぐに見た。
「死ぬから……遠ざけるんじゃ、なくて……っ……、『生きて、俺達の側にいろ』って、言って……………!」
「――――………。」
「―――……私の………ヒーローも………私に魔法をかけられる……魔法使いも……。ただ一人――――……リヴァイさん、だけなの…………。」