第143章 我儘
「―――後悔しないように、選びたいんです。」
「…………。」
「置いて行かれるくらいなら、例え命を賭けることになっても、一緒にいたい……。」
「…………。」
「だって、リヴァイさんが言ったんですよ。『俺を癒せ』って……!」
感情が昂る。
理路整然と話したかったのに、彼を前にそんなことは到底できるはずもなくて。駄々をこねる子供のように、感情を吐き出した。
「――――リヴァイさんはすぐ怒るし……っ……!」
「………あ?」
私の様子が変わったことに気付いて、ようやくリヴァイさんが私の方を見た。
ぐちゃぐちゃな感情は、きっと病のせいだ。
心が弱くなっているからだ。
――――そういうことに、させて……
「――――過保護すぎるときも、多いし……、 冗談もわがままも、拗ねてる時も……とにかくわかりにくいし……っ……!」
「―――――………。」
「――――エルヴィンのところへ行け、って……言うくせに、さっきだって………キスした……っ……!」
「……何言ってやがる、支離滅裂だな。」
「――――こんな滅茶苦茶でわかりにくいリヴァイさんを、私以外の誰が癒せるんですか……?」
「――――俺のことはいい。忘れろ。」
その言葉にカッとなる。
なんで……いつもすぐに『忘れていい』『忘れろ』って言う。
そんなのできないこと、わかってて。
ずるい
ずるい
ずるい
「―――私がまだ戦えた時は、どんなに私が折れても――――『お前は大丈夫だ』って、信じて、くれたのに……!」
そう、その言葉が何度私を救ってくれたか、あなたは知らないだろう。いつだって私に魔法をかけるように、私を導いて、強く背中を押してくれる。
なのに、今はもう――――側にいることすら、許してくれないの。