第143章 我儘

「――――でも大丈夫だよ！！」



「………え？」





途端にあっけらかんと、『大丈夫』と言い放つハンジさんに驚いて、ベッドに2人並んで座るそのままの体勢で、ハンジさんの方に目を向けた。





「―――通院もするし、無茶はさせないし！調査兵団でナナが毎日笑って過ごしていたら、病なんてきっとどこかに行っちゃうよ！！気付いたら治ってるかも。もしくは――――治療方法が見つかる、とかね。」



「………ふふっ……。」



「あ、ナナ、笑った。」





私が思わず笑うと、ハンジさんもつられて笑顔になる。





「――――はい、だって……ハンジさんが大丈夫って言ってくれたら、本当に大丈夫な気がしてきました。」



「でしょ？……それにね、ナナはきっと訓練も立体機動も壁外調査も出られなくて、自分なんて役に立たない……とかとか、思っちゃうんだろうけどさ。」



「……よく、ご存じで……。」





まさにお見通しで、恥ずかしい。

ティーカップを膝に降ろし、縮こまっている私の肩に、ハンジさんはぽん、と手を置いた。







「その頭脳はしっかり貸してもらうし、エルヴィンの心の支えになってもらうし、それに―――――リヴァイも、私も。頼るよ。だからナナ。」





「――――はい。」





「……病が大変な中、戻って来てくれてありがとう。」





「――――はい………っ………！」







ハンジさんの眼鏡の奥のその瞳が、優しくて。ここに居て良いんだって、思わせてくれた。



今度は嬉しくて零れた涙を拭って、もう一度心を奮い立たせる。



リヴァイさんに、もう一度話す。

ううん、わかってくれるまで――――何度でも。






側にいていいって、言ってくれるまで。