第141章 覚悟
その作戦の決行はすぐにやって来た。
目標が壁のすぐ下に迫る。
そして、人々を恐怖に陥れる轟音と共に―――――その巨大な手が、左手、右手、と順番に―――――壁を掴んだ。次の瞬間、想定通り大地に顔も胸部も削られた目標が、ゆらりと立ち上がった。
両手に体重を移動させたとき、作戦開始の信煙弾を放つ。
「今だ!!攻撃開始!!!」
合図により、右手、左手両方から攻撃を仕掛けて手首を破壊する。
どぉん!!!
という爆音と共に、その巨体が予定通り前のめりに傾いた。
「よし!!体制が崩れた!!頼むよエレン!!!」
アルミンが声をかけたその時、訓練の成果か思い通りに巨人化したエレンが、大量の爆薬を詰め込んだ贈り物を抱えて、目標の削られた顔面から、直接喉奥に向かって突っ込んだ。
耳をつんざく音と爆風、衝撃波を上げて―――――、ロッド・レイスは、肉片となって吹き飛んだ。
「総員!!立体機動でとどめを刺せ!!!」
これほどの巨体でも、本体は縦1m10cmの大きさしかない。
本体を破壊しない限り、また体を再生し高熱の盾を生み出す。この気を逃すな。
調査兵団の面々が次々に飛び散った肉片を切り裂いていく。
そんな中――――、止めたにも関わらず強い意志で己の役割を全うするために飛び出したヒストリアが――――、本当に、自らの手で決着をつけた。
父の命を―――――その手で、断ったのだ。