第141章 覚悟
「……それが本心なら、図太いというか……逞しいと言うか………。」
「壁外調査で、巨人にあばらを砕かれて口に運ばれそうになった時のほうが『死ぬ』と思いましたし。」
「……………。」
「………ナナ………あなたそんなにも逞しく生き延びてきたのね………。」
呆れるボルツマンさんと、悲しげに……でも少しだけ嬉しさを潜ませた顔を見せたお母様に、これからの事を伝える。
「この病に明確な治療法もないことも知っています。対処療法しか、ないとは思うのですが……。幸い物凄く病状が進行しているわけでもないので、様子を見ながら、でしょうか?」
「……そうだな。だが小さな怪我が命に関わる大事に繋がるような厄介な病気だ。まさかとは思うが……調査兵団に戻るつもりじゃないだろうな?」
ボルツマンさんが腕を組んだまま、じろりと私を睨んだ。私は悪戯がバレた子供のように肩をすくめて笑うと、またもボルツマンさんは深く長い溜息をついた。
「――――駄目だぞ、治して来いと言われたんだろう?」
「治らないなら、腹をくくるって決めてます。」
「…………。」
「ナナ………、彼らだって、いつ倒れるかわからないあなたを側において満足に戦えるのかしら?」
「………それは………。」
いつになくお母様が厳しい言葉を投げかけて来た。
そう、お荷物にしかならないのかもしれない。
だから――――これは私のただの我儘だ。
「………エルヴィンさんにもちゃんと話して、相談してごらんなさい……。」
「………うん………。」
そうだ。ちゃんと話そう、エルヴィンとリヴァイさんと……ハンジさんに。
――――会いたい。
どこにいるの?
痛い思いを、辛い思いをしてない?
――――側に、いたい。
還りたい。私の居場所へ。