第141章 覚悟
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――――みんなはどうしてるだろう。
王政が転覆して、晴れて調査兵団の無実は証明された。だから追われることは無くなったはずだけど……エレンとヒストリアの奪還は、うまくいっただろうか……。
そんな事を考えながら、検査結果を待つ。
病室の窓から見上げる月は相変わらず私を煌々と照らしている。
その時、扉がノックされてたくさんの資料を持ったボルツマンさんが来てくれた。検査の結果を知らせに来たのだろう。
「――――……10万人に一人、程度の割合だ。だが――――、発症した者は皆一か月程度で死に至る場合が多かった難病だ。」
「………やっぱり、そうですか。」
「…………っ……そんな……!」
骨髄液を調べた結果、やはり異常が見つかった。
――――今の私の身体は、血液中に良くない細胞が紛れ込んでいて、血液を正常に作れない。
極度の貧血はその為だ。
それに―――血液を凝固させる力も弱い。
つまり、小さな怪我が命取りだと言うことだ。
とんでもない病だと思うけれど……不思議と、私はそれを受け入れられた。私よりも数段ショックを受けて椅子にかけたまま俯いて顔を両手で隠しながら小さく泣いてしまったのは、お母様のほうだった。
「大丈夫?お母さま……。」
お母様の背をそっと撫でると、その様子を見たボルツマンさんが怪訝な表情で私を見た。
「………ナナ、強がらなくてもいいんだぞ?……お前には隠しても無駄だと思ったから……隠さず全てを伝えたが……お前自身が一番ショックだろう………。」
気遣ってくれている。それは嬉しいのだけど。
「………うーん、実はそれがそうでもないんですよね。」
「……は?」
「なんでしょう……まだ、死ぬ予定じゃないので……。」
うまく説明できなくて選んだ言葉に、ボルツマンさんは呆れたように片手で自らの顔を覆った。