第141章 覚悟
―――――――――――――――――――
俺達はエレンの硬質化のおかげでなんとか命を繋ぎ、崩落した礼拝堂跡地から這い出た。
そしてすぐに超大型巨人の倍以上ある図体のでかいロッド・レイスの巨人体を追った。
なかなかに妙な巨人だ。
顔面を地に伏して、その顔面をすり減らしながら――――四つん這いでゆっくりと、だが確実に……意志を持って進んでいる。洞窟内で感じた通り奴の身体は異常なまでの高温の蒸気を纏っており、近づいた木々が発火するほどだ。
真夜中の暗闇の中――――、奴が響かせる地面を削る轟音と、奴の周りの木々が発火した炎の揺らめきがなんとも形容しがたい気味悪さだ。だが、奴がのろまで助かった。
俺達はエレンやヒストリアから、ロッド・レイスから聞いた話を全て聞き出した。
エレンをロッド・レイスに食わせて人間に戻す、レイス家に始祖の巨人の力を戻す選択肢もあったが―――――、それで奴に俺達の記憶を全て消されちゃ終わりだ。
俺達はロッド・レイスを仕留めることに決めた。
―――――それはヒストリア自身の提案と決断だった。
俺は、ヒストリアが国を治める事にそれほどの違和感はねぇのかもしれないと思った。それほど、ヒストリアはこの数週間で、驚くほど変化していたからだ。
しばらくして、辺りに俺達以外の兵士の姿がちらほら目につくようになった。ロッド・レイスの巨体に気付き、派兵されてきたのかもしれない。その時聞き覚えのある声が久しぶりに、俺を呼んだ。
暗闇の中で、その声の主を確認する。
「――――リヴァイ。」
「……!エルヴィンか?」
「皆は?」
「ハンジとサッシュの弟のみ負傷だ。」
「!!アーチが……。そうか。大事には至っていないようだな。皆よくやった。」
「エレンの“叫び”は効いてねぇ……。報告事はごまんとあるがまず―――――」
「あの巨人は?」
「ロッド・レイスだ。お前の意見を聞かねぇとなぁ……団長。」