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【進撃の巨人】片翼のきみと

第141章 覚悟




エルヴィンの判断は早かった。

ロッド・レイスはこの進路から考えて、城壁都市であるオルブド区に向かっている。すぐ側にいた俺達には反応しない。――――まるで、数名の人間を食ったって腹の足しにならないとでも言うように、大勢の人間がより集まる場所を目指している。

……もしくは、ロッド・レイスの意識が残っていて――――なにかの目的があるのか、どちらかってとこだ。



前者だった場合、オルブド区の住民をウォール・シーナへ逃がしてしまえば――――、あいつは進路を変え、ウォール・シーナをぶち破って王都へと侵攻する。

それは、人類の終わりを意味する。



早々にオルブド区に先回りして到着した俺達は、オルブド区の駐屯兵団に話を通して協力を仰ぐ。だが、住民を避難させずに囮として使うことに納得をしない。





「――――何を考えているエルヴィン!!」





エルヴィンを詰め寄るのは、オルブド区の駐屯兵団ロボフだ。巨人の生態について余程詳しい俺達の進言を受け入れねぇのは愚かだとは思うが………己が守るべき街の住民の安全を第一に考えているその信念は悪くねぇ。

信頼できる奴だと思う。





「住民を避難させず街に留めるなんて……!夜明けにはもうあの巨人はここに到達するのだぞ?!」



「……あの巨人は奇行種です。」





ロボフを説得するために、ハンジが口を開いた。





「それが何だと言うんだ?!」



「目標の巨人はより大勢の人間がいる方へ吸い寄せられる奇行種。これまでの進路にあった小さな村には見向きもせず、この城壁都市を目指しています。……なのでいまから急に住民をウォール・シーナに避難させれば、目標はそれに引き寄せられ……ウォール・シーナを破壊し突き進む……。果ては、最も人間が密集している王都ミットラスに到達します。」





その悲惨な想像に、その場にいたロボフ以外の駐屯兵団の面々も息を飲んだ。


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