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【進撃の巨人】片翼のきみと

第140章 兄弟






「――――ごめんみんな……俺は役立たずだったんだ。人類の希望なんかじゃ……無かった……。」





その時、爆風で一つの瓶が、手元に転がってきた。

それはロッド・レイスが巨人化するために使った注射器の横に添えられていた瓶と同じ―――――、そこには、“ヨロイ”と書いてある。



「なんだぁ?悲劇の英雄気取りか?てめぇ一回だって自分の力一つで何とかできたことあったかよ?」

「そうだぜエレン、ジャンの言う通りだ……。初めてじゃねぇだろこんな状況。」

「別に慣れたかぁねぇんですけどね!!」



こんな時にもこんな事が言える104期の面々は、どうかしてる。けど……。





「――――エレンとヒストリアを抱えて飛ばなくたって脱出は厳しい。それに巨人の熱が凄まじい……これ以上近づくと焼け死ぬだろうな。」



「兵長……駄目です、もう逃げ場はない……。」



「……毎度お前にばかり……済まなく思うが……エレン。好きな方を選べ。」





――――その言葉は、俺の背中を押してくれる。

そうだ、あの時も。

俺は今までも何一つ上手くできなかった。

選んだ選択も、後悔しなかったことなんてない。




―――――でも、それでも。




最後にもう一度だけ、許してほしい。

自分を信じることを。







「うああぁぁあぁああ!!!」







“ヨロイ”の瓶を持って飛び出す。

瓶ごと噛み砕いて―――――、俺はそれを、体内に取り込んだ。

身体の奥底から湧き出る血肉と、巨人の骨格。







俺にできることがあるのなら、人類を救うとか、巨人を駆逐するなんて大それたことができなくてもいい。






――――ただ目の前のこの大事な仲間を、






今度こそ守りたい。




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