第139章 苦闘
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エルヴィンと別れて家に戻ると、そこにはすでに憲兵団の使者がロイを拘束するために訪ねてきていた。
「――――ロイ!!!」
「――――姉さん。」
「あんた……調査兵団のところの………。」
私を見た数名の兵士が、小さく頭を下げた。
「――――弟さんは、王政に組みして人類に害のある疫病の研究をしていた容疑で連行します。宜しいですね?」
「――――………。」
こうなることをロイも覚悟してた。けれど……でも、ロイは抗っただけ……なんとか、できないだろうかと一生懸命考えても、いい答えが見つからない。
「――――行きますよ、そのつもりで告発したんだ。覚悟なんて出来てる。……けど、あと15分待ってもらえませんか?姉と話したいことがあるんで。」
「――――ああ、構わない。」
了承してくれた兵士にぺこりと頭を下げて、ロイに手を引かれて――――ロイの部屋に入った。ロイはそのまま私の手を引いてベッドに座らせると、側にあった椅子に自らも腰かけた。
「――――義兄さんは?」
「兄さん?」
「――――エルヴィンさん。無事だったんだよね?」
「うん。」
「そっか。良かった。僕のリークも少しは役に立ったのかなぁ。」
ロイはふふ、と柔らかく笑った。
「……ロイ、本当にありがとう。ピクシス司令にも言われたよ。『弟を誇れ』って。」
「僕はただ………姉さんを守りたかっただけだ。」
そう言ってくれるのはとても嬉しい。
だけど……その守ろうとしてくれている私自身が、長くないかもしれないことを、ちゃんと話さないといけない。
「――――ロイ、私………良くないんでしょう?」
いきなり核心をついた質問をすると、ロイは目を見開いて少し――――黙った。