第139章 苦闘
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「――――準備整いました、カーフェンさん。」
「ああ、アーチ。覚悟はいいのか?じき、来るぞ。調査兵団が。」
礼拝堂の地下――――、驚くような広い空間に、光を発する壁と柱。見たことも無いような、目を疑うような場所で――――調査兵団を、兄貴を殺すための準備をする。
「――――ここは立体機動を使うのにうってつけですね。」
「は?」
「――――対人格闘では負けたことないんですけどね、兄貴に。」
「…………。」
「立体機動ではどっちが上か――――……ワクワクしますよ。」
「………殺すことになっても、か?」
「――――世界なんて、命なんて、そんなもんです。勝てば生きる。負ければ死ぬ。ただ――――……それだけだ。」
俺の言葉を聞いたカーフェンさんは、やれやれ、と小さく首を振った。
「敵は兄貴だけじゃないぞ。知ってのとおり……リヴァイは完全な奇襲を受けた上で、我々の仲間を12人も葬った。」
「――――それに、中央憲兵の本部も王政も制圧されたそうですね。」
「ああ……厳しい状況だな。私達を飼っていた親元が潰された。この戦いに勝ったとしても……この狭い世界で私たちを待っているのは死んだほうがマシな日々だろう。」
「――――じゃあやめますか?」