第138章 悪党
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中央憲兵の根城を制圧し、役立たずの髭面は本当に何の情報も持っておらず、クソが……とため息をついていたところにハンジが合流した。
ハンジはエレンとヒストリアの居場所に目星がついていると言う。
レイス家の領土にある―――――礼拝堂だ。
俺達は月明かりの中でそこへ向かう。道中にハンジが礼拝堂に的を絞った理由を語った。
5年前のあの日壁が破られたその夜、その礼拝堂で盗賊に襲われ、レイス家はロッド・レイスを残して5人の子どもも妻も惨殺されたらしい。
そして――――石造りの教会が大破。
ロッド・レイスは家族を全員失ったにも関わらず悲しみに暮れる間もなく礼拝堂をすぐさま修復し、使用人との間にできた隠し子、ヒストリアと接触を図った。
――――確かにおかしい。
たかだか盗賊が石造りの教会を大破などさせるか?それに――――ロッド・レイスはなんとしても自分の血を引いたガキが必要だったと見える。
「――――エレンが食われるかもしれないだと?」
「――――あくまで推測だけれどね。だから急がなくちゃ……!夜明けにはエルヴィンが派兵してくれるだろうけど、それまでにエレンが食われたら元も子もない。私たちで――――取り返さないと……!」
礼拝堂が見えて来た、その側に―――――人影がある。