第138章 悪党
「――――あれは……サッシュ?!」
「……リヴァイ兵長、ハンジさん……お疲れさまです。無事で良かった。」
「サッシュこそ……潜入捜査ご苦労だったね!おかげでここに辿り着けた……。あれ、兵団本部に帰らなかったの?」
「――――……ずっと張ってました。そして見た。ロッド・レイスとヒストリア・エレンがこの中に入っていくのを。そして――――中央第一憲兵の兵士たちが――――見たこともない立体機動装置を武装して、およそ30名以上。」
サッシュの顔が、覚悟を決めている顔だった。
――――あぁそうか。
お前もここで決着をつけようというのか。
―――――弟と。
「――――中央第一憲兵には、お前の弟が含まれるんだよな?」
「!!」
「――――はい。」
104期の面々が驚いた顔を見せる。
見も知らずの人間ですら殺すことを躊躇うこいつらが――――、仲間の弟を殺せる、はずがねぇ。
「――――リヴァイ兵長、弟は俺にやらせてください。」
その目は、もう前までの馬鹿丸出しの無鉄砲なサッシュじゃない。
経験も能力も兼ね備えて――――覚悟を決めた、兵士の顔だ。
「――――任せる。」
「……ありがとうございます。」
「――――よし、さっそく準備をしよう……!」
ハンジの指揮の元、馬車に積み込んで来た資材で武器を作り、各々も完全武装する。
サッシュの報告から行くと30人以上の手練れだ。
そして―――――ケニーが含まれる。
「――――お前ら、準備はいいか。」
「はい!!」
「――――手を汚す覚悟はできてんだろうな。」
―――――返事こそないものの、その表情は腹を括ったことを物語っていた。
「死ぬなよ。―――――行くぞ。」
こうして俺達は、礼拝堂の隠し扉から地下空間へ続く扉を蹴破った。