第138章 悪党
「……っふ…………、好き………。」
「………ああ……。」
「………ぁ…っ……、エル、ヴィン……、溶け、ちゃ………。」
「――――溶かして―――――……君を全て、食べてしまいたい――――……。」
「ぁ、ん……ぅ、んむ、はっ……ぁ……!」
「――――愛してる。おかしく、なるほど……ナナ――――……。」
「――――………。」
しばらくして身体に力が入らなくなったところで、エルヴィンの唇が離れた。
「――――残念だが、続きは、また今度。」
名残惜しく離れるエルヴィンの唇を追うように指でそっと触れる。するとエルヴィンは私の指を甘噛みしたあと、掌に口付けた。
「――――自分の身もろともに王政を告発したロイは、これから苦労するだろう。側に、ついててやってくれ。」
「………うん。」
「………恐らくこれから俺達は――――、レイス卿の足取りを調査して――――身柄拘束に動く。」
その俺達は、に私は含まれていない事が胸の奥を握りつぶすように苦しくさせる。
でも――――、言わない。
本当は一緒に行きたい。
エルヴィンが言ったように、死ぬとしても側にいたい。
……でも、わかってるの。
医者だもん。
―――――自分の体がおかしいことは。
――――だから、ちゃんと待てる。
そして彼らもちゃんと、帰ってくる。
そう、言い聞かせた。
「………気を、つけてね………。」
「………ああ。」
私の言葉に安心したように、エルヴィンは優しく柔らかに笑った。