第137章 革命
「――――ウォール・ローゼが突破されました!!!!!」
「?!?!」
その場の全員が、凍り付いた。
「突如出現した超大型巨人及び鎧の巨人によってカラネス区の扉は二つとも破壊されました!!現在東区より避難民が押し寄せて来ています!!!」
「な!?」
その場で誰よりも速く、的確な指示を飛ばしたのはピクシス司令だった。
「避難退路を確保せよ!!駐屯兵団前線部隊は全兵力を東区に集結させ、避難活動を支援する!!皆それぞれの持ち場へ!!住民の避難が最優先じゃ!!」
「――――駄目だ!!!ウォール・シーナの扉を全て閉鎖せよ!!避難民を何人たりとも入れてはならんぞ!!!」
王政幹部の一人が―――――激しい剣幕でピクシス司令の指示を打ち消した。
――――出たな、本性が。
その言葉に、ナイルを始めとした憲兵団の面々に動揺が広がる。
「そ……それは……ウォール・ローゼの住民を……人類の半数を見殺しにするとのご判断でしょうか?!」
命令に従順だったナイルが、その指示の意味を尋ねる。不信感はもう――――拭えないはずだ。
「先ほどその者が言った通り……内戦が始まるだけだ。わざわざ敵を増やすことはあるまい!!」
「し、しかし……それはあくまで可能性の話では……。」
「その可能性があることが重大なのだ!!我々は最上位の意志決定機関であるぞ!!さっさと動かぬか!!!」
――――まだ少しの期待をしていた。
俺達が命を捧げて守って来たものの中枢が、腐りきっていないのではないかと。己よりも、人類の存続を選べる人間なのではないかと。
その指示を受けてもなお、兵士は動かない。
当たり前だ。
自分たちの家族や愛する者を見殺しにするために――――誰が動けるというのか。