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【進撃の巨人】片翼のきみと

第137章 革命




たとえ自分達に不要な人類を内戦と称して虐殺しようとも―――――記憶の改竄により、また偽りの平和を植え付けることができる、といったところか。さて、俺の言葉にどう反応する?その挙動の僅かでも見逃さないよう、彼らを凝視する。




「君の主張はわかった。調査兵団は王政に対立しておらず、リーブス氏を殺したのも調査兵団ではないと。だが、昨日君の腹心であろうリヴァイがストヘス区で憲兵を複数殺害して逃走した。出頭を拒み対話の代わりに刃を振るうというわけだ。これはこの壁の平和に対する挑戦に他ならない。」





リヴァイが何かをしようとしている。

――――おそらくは、エレンとヒストリアを奪還しようとしてのことだ。





「――――そしてピクシス司令。駐屯兵団と調査兵団は前線で命を張る者同士、親密な関係を築いておったようだが。よもや……その志まで共に築いているのではあるまいな?」



「――――有り得ませぬな。人同士の殺し合いほど愚かな話は……。この狭い人の世に一度火を放てば、燃え尽くすまでにそう時間はかからんでしょう。先のトロスト区防衛戦においてはそう兵士に言い聞かせ……大いに死んでもらったものです……。何より巨人が壁を破って来た際、人があまり残っとらんようじゃ……巨人に呆れられてしまいましょうぞ。」





奴らにとって脅威のひとつであろう、多くの兵士を率いるピクシス司令が自分達の従順な駒であることを確信し―――――奴らは、笑った。





「はははは!失礼な物言いであったなピクシス司令。それだけは避けたいものだ。」





俺を見下げるピクシス司令と、目線が交差する。

あぁそうか、あなたも腹を括ったのだ。





「話は済んだな。処刑台に連れて行け。」





拘束された左腕を引き上げられ、処刑台へと送られる。

――――万事整ったというわけだ。

見せてもらおう、この壁に生きる者達を代表して――――今ここにいる王政が、そしてそれに従って来た兵士達が、何を信じ、何を守り、どう行動するのか。






――――遠くからバタバタと駆けてきた何者かの足音が、俺の背の後ろでぴた、とやんで扉が勢いよく跳ね除けられた。




――――そこには、ピクシス司令の副官が鬼気迫る表情で、息を切らしていた。



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