第137章 革命
そしてついに、俺はこの世界の王の元に膝をついた。
……いや、正しくは――――、偽りの王だ。
この間に真の王であるレイスは、エレンとヒストリアを使って何かをしようとしている。――――エレンの力がレイスに渡れば、私たちの記憶はまた奪われる。
――――リヴァイ、ハンジ。それぞれの首尾はどうだ?
俺達それぞれの動きが、判断が交わって――――どう動くのか。
「――――エルヴィン。最期に言い残したいことはあるか?」
王のそばに並ぶ4人の幹部。
――――そこにあのいけ好かないライオネル公爵はいない。総統局に呼ばれた時にも、その姿はなかった。
――――ただこの調査兵団の捕縛については少なからず彼の意志もあるはずだ。王政に口を出せる立場でありながらこの幹部席には座らない。レイス寄りの立ち位置なのか……
「調査兵団を失うということは、人類の矛を失うことを意味します。迫り来る敵から身を守るのは、盾ではなく、脅威を排除する矛です。例えば今この瞬間。ウォール・ローゼが破られたとします。ウォール・ローゼの住民を再びウォール・シーナ内へ避難させることになりますが、先日の避難で消費した食料は現在どこにもありません。」
俺はその最悪の事態を淡々と述べる。
――――怖がれ。
己の資産を、領地に他者に踏み入られることを――――お前たちは最も忌避したがるだろう?
そして本性を晒せ。
「……そしてそれは周知の事実。ウォール・ローゼの住民は巨人の脅威とは別の生存競争を強いられることになるのです。つまり今この瞬間、ウォール・ローゼが破られるということは……ウォール・ローゼとウォール・シーナに二分した人類による内戦の開始を意味します。」
「………それで?その問題が……調査兵団が健在ならば、解決すると言いたいのか?」
「相手の懐に真っ先に飛び込むのは我々調査兵団の役目。引き下がるのみではなんの解決にもなりません。それとも―――――何かしらの秘策があるのでしょうか?」