第137章 革命
「――――お尋ね者なんだよな、それでその恰好か。」
「はい……。あの、リヴァイ兵士長と今も連絡をとれているのですか?」
「………いや、流石に途切れたよ。でもいつかまた会えた時に高く売りつけてやりてぇからさ、王政と中央憲兵あたりの動きは売り物として仕入れてんだ。」
「あぁ……それで王都に……。」
ジルさんはニッと笑った。
そんな……王政を、この小さな世界の権力を敵に回すような情報を買ってくれる人なんて、私たち調査兵団以外にいなくて……この状況でリヴァイ兵士長にまた会えるかもわからないのに……。あぁこの人は、リヴァイ兵士長の力になろうとしてくれているんだ。
「………ふふ………。」
「なんだよ?」
「―――嬉しくて……。」
「なにがだ?」
「ジルさんはリヴァイ兵士長の力になろうとしてくださっているのかなって思うと。」
「…………!」
「違ったらごめんなさい。でも、私もそうだから……。あの人の背中には本物の翼が生えていて―――、この世界を、自由に導いてくれるって夢を、みているから……。信じて、ついて行きたい、役に立ちたいって――――思うんです。」
「…………。」
「……あでも、結局いつも役に立つどころか――――、お荷物なんですけど。」
俯いて自嘲の笑いを見せると、ジルさんの手が私の頭を帽子越しにがしっと掴んで、わしわしと撫でた。
「―――――あの男が守りたくなるわけだ。」
「???」
「――――まぁそうだ、悔しいが……あの男はすげぇよ。だから俺も見たいんだ。あの男が何を大切にして――――、何を成し遂げるのか。この混沌とした世界の行末をな。」
ジルさんは、細くて鋭い目をしていて一見怖い見た目だ。でも、その目は理性的でとても優しい。
「―――――……ジルさん……一つ……仕事を依頼したいのですが。」
「うん?なんだ、リヴァイ兵長に代わってお前が雇ってくれんのか?」
「はい。―――――私がこれから話すことを――――――………。」
私はジルさんにある事を託した。
――――――――上手く運ぶといいけれど。