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【進撃の巨人】片翼のきみと

第136章 進達




「――――っおい!!!なに、やってんだガキ!!!大丈夫か?!?!」



馭者が怒声と共に私に駆け寄り、馬車の扉が開く。きっと、手を差し伸べてくださると思った。



「――――なんじゃ?大丈夫か??」



そしてピクシス司令と目があった瞬間―――――、司令は全てを理解した顔をした。



「――――大変じゃ。手当をしてやらんと。少年、乗りなさい。」

「…………。」



私は小さく頷いて見せ、ピクシス司令に手を引かれるようにして馬車に乗り込んだ。







「――――心臓が縮んだわい。何をやっとるんじゃ、ナナ。」





馬車が再び走り出すと、ピクシス司令ははぁ、とため息をついて頭を抱える素振りを見せた。





「申し訳ありません。どうしてもお話したくて……強行手段に出てしまい……。」



「………エルヴィンのことは知っておるな?」



「はい。憲兵団に護送されるのをこの目で見ました。」



「――――それで、今更お主には何もできることはないぞ。何をしに来た?まさか儂に『エルヴィンを助けて』なぞ言わんでくれよ。」



「ご安心を。そんなことは言いません。ただ、私が王政の中心にいるライオネル公爵から聞いた情報をお持ちしました。」



「なに……?」





ピクシス司令が、ぴく、と反応した。





「――――レイス家がこの世界の真の王家であり―――、その最たる側近が、どうやらライオネル家らしいのです。そして……これは確証とまでは行きませんが、レイス王はこの壁内人類の記憶の改竄・操作をすることが可能である可能性が高いです。」



「………それは、エルヴィンの推測と同じじゃな……何を根拠に……?」



「………ライオネル公爵に、私がその事実を知っているていで話しました。すると……『あなたの身の振り方次第では記憶を奪わないであげよう』そういう言い方を、しました。それは即ち――――ほぼ確証に近いと言っていいでしょう。また、『民意などどうにでもなる』と。」



「――――………。」




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