第136章 進達
街なかを走り抜ける、エレンとヒストリアを乗せた馬車を追う。が、その行動も全て読まれてる。
見たこともねぇ新種の立体機動装置に銃を合わせた武装をした奴らが次々に銃弾をぶっ放してきやがる。
――――どいつもこいつもなかなか動きがいい。
これが憲兵から引き抜かれたエリートで構成されている――――、中央憲兵の中核か。
とにかくあいつらの立体機動装置を駆使できる環境で一対多勢は不利だ。目に入った酒場に飛び込んで、身を隠す。
カウンタ―内に身を潜めると、ふざけた奴の楽し気な声が近づいて来る。
「みーーーーーつけた!!憲兵様が悪党を殺しに来たぜ!!……なんだぁ、いねぇのか?!」
「ここだケニー。久しぶりだな。」
カウンターの内側から、姿を見せないまま奴に答える。会話の隙に勝機を探す。――――そして、出来る限りの情報を引き出す。
「おう、懐かしいな。ちょっと面を見せろよ。」
「ふざけんじゃねぇ。てめぇさっきから俺の顔に散弾ぶっ放して来てんじゃねぇか。」
「まぁな。今日はお前の脳みその色を見に来たんだ。」
「……まさかとは思ってたが……本当に生きてたとはな。憲兵を殺しまくったあんたが憲兵やってんのか?はっ……あんたの冗談で笑ったのは正直これが初めてだ。」
「ガキには大人の事情なんてわかんねぇもんさ。おっとすまねぇ。お前はチビなだけで歳はそれなりにとってたな。――――あぁそうだ、お前がたいそう入れ込んでた女はどうしてる?いーーーい女だったなぁ。白くて細い腰を折って、血まみれにしてやりたいくらいになぁ。」
「…………やっぱりてめぇか、ナナにちょっかい出してやがったのは。」
「………殺さなかっただけありがたく思えよ。この世の王とやらに次ぐ権力者があの女を欲しがるからよ。やりにくいったらなかったぜ。」