第136章 進達
「――――ニファ!!!!」
その存在を二ファに知らせるための声は―――――ニファの頭を吹っ飛ばした銃声によって掻き消された。
目の前で、血を撒き散らしてゆっくりと、その身体は崩れ落ちていった。
――――物陰に隠れる合間に見た、向かいの建物で見張りをしていたアーベルとケイジは……同じく、頭を吹っ飛ばされて地に落ちた。
―――――今の今まで、俺の隣で―――――同じ物を見ていた仲間が、一瞬で屍と化した。
――――どれほど失えばこの地獄は終わる?
そんなことを問うても仕方がないのはわかる。
―――――だが、また俺が、死なせた。
そしてそこにいるのは―――――間違いない、奴だ。
「ようリヴァイ。大きくなったな。」
立体機動のワイヤーを巻き取る音がする。来る。
「お前もあんまり変わってねぇなぁ?!リヴァイ!!」
「ケニー!!!!」
なぜ今頃現れる。
なぜお前が中央憲兵にいる。
なぜ俺の仲間を―――――殺した?
聞きたいことは山ほどある。だが、あんたとは分かり合えないことも知っている。――――なら、殺し合うしかない。
――――そう、あんたが教えてくれたよな。
ケニーよ。
俺に銃口を向けるケニーの引き金を引かせないために、ブレードを飛び道具として投げて寄越す。ケニーは銃身でなんなくそれを弾きながらも、銃撃を加えてくる。マントを外して身を隠しつつ、銃弾を負わないように姿勢を低く避けると―――――、その目線の先には変わり果てたニファの姿が目に飛び込んでくる。
――――俺を罵るか?
『なぜ助けてくれなかった』と。
――――守ってやれなくてすまない、ニファ、アーベル、ケイジ。沸き起こる慟哭を抑えながら、一先ずその場から脱する。長居すると――――殺られる。