第12章 壁外調査
私は持って来ていたミルクと砂糖を足し、かき混ぜて再びカップに口をつけた。エルヴィン団長が口をつけたカップだと思うと、ほんの少しだけ緊張してしまう。
「……美味しいです。」
やわらかい甘味と、ミルクのまろやかさで、随分と飲みやすくなったコーヒーは私の眉間の皺を消してくれた。
「それはよかった。」
エルヴィン団長はにこやかに笑っていた。
「それはそうと、こんな時間まで君を拘束して、申し訳ない。リヴァイに、怒られてしまうかな。」
「いえ、団長補佐の仕事をしているだけです。兵士長であっても、文句を言われる筋合いはありません。」
私は少し拗ねたように口にした。エルヴィン団長は少し笑った。
「それもそうだな。」
「もう、お休みになりますか?」
「そうだな、そうしよう。カモミールティーか、気に入ったよ。気分が安らぐ。……これで、君の子守歌でもあれば最高によく眠れそうだ。」
「ご希望なら、眠られるまで歌います。」
エルヴィン団長はほんの少し困ったように、でもどこか嬉しそうに私の頭に手を乗せて、ぽんぽんと撫でた。