第136章 進達
「――――ロイ。ありがとう。」
「…………?」
「私を守るため……そして………、人類のために、王政幹部を道連れに、心中するつもりでしょう……?」
「――――………。」
ロイの顔が硬直した。――――図星だ。
「………違う。僕はただ、誰が何人死のうと、世界が滅びても姉さんさえ生きていればいいから……この条件に乗ったんだ。」
「――――疫病でこれ以上死なせないって、誓ったんでしょう?」
「――――………。」
「見てればわかるよ。ロイが――――……どれだけ、この世界を救おうと一生懸命だったか。」
「――――………。」
「それを――――……保身のために使おうとする人たちを、私はやっぱり許せない。」
ロイは目を伏せたまま、拳をぎゅっと握り締めて―――――黙った。
「ねぇロイ。我儘言っていい?」
「………なに。」
「――――その覚悟と命、私に使わせて。」
「…………!」
「――――目にもの見せてやろう?前にロイ、言ったじゃない。」
「………なにを……?」
「『一緒に終わらそうよ、この下らない世界を』って。」
「―――――……!」
「終わらせよう、人の命を軽んじる人間が牛耳る、このくだらない世界を。私たちで。」
「――――……下手したら、僕ら死ぬ?」
「死ぬね。」
「うわぁ………。」
ロイは眉間に皺を寄せて、見たこともないような変な顔をした。