第135章 伝心
「――――ライオネル邸に監禁、強姦まがいなことをされまして。」
「――――は……?!」
私の言葉に、ボルツマンさんは包帯を巻いていた手をぴた、と止めた。その顔は、驚愕している顔だった。
「――――こうでもしないと、逃げられなかったんです。」
「あの……男が……?!そんなことをしそうな人間には……到底、見えないが……。」
「はい、私もそう思っていましたが……甘かった。怖い、人でした。そしてその矛先が――――、今私の愛する人たちに向いている。だからどうしても……私は捕まってる場合じゃなくて……!行かなきゃ、いけないんです……!」
「――――ロイから、そもそもお前の体調もおもわしくなく――――病気の可能性があって検査中だと聞いたが?」
「………はい………。」
「そんな危なっかしい人間を、それでなくとも治安が悪くなったそこらに放り出せるわけがないだろう。」
「――――私の、生きる、意味なの……!」
ボルツマンさんを真っすぐに見つめて諭す。
お願い、分かって。
今私がこの情報を――――エルヴィンに届けなければ。
私は例え病気がなくて、ずっと健康に長生きできたとしても。
この瞬間のことを一生後悔する。
自分を責め続ける。
今、やるんだ。
「――――面会謝絶はせいぜい3日間だ。」
「…………!」
「毎日午前8時と午後6時に清掃会社が来る。それに紛れて出入りしろ。」
「はい……!」
「だが………そこまでお前に執着しているのなら、面会謝絶が開けたらすぐに迎えが来るだろう。それはどうする?……さすがにそこで表立ってお前を庇えないぞ。私たちにも守るべき患者と従業員たちがいる。」
「はい、それは分かっています。ご迷惑はかけません……!」