第135章 伝心
「ちょうど我々の捜査でリーブス商会の関与が明らかになったところだった。それにいち早く気付いた調査兵団は捕われたエレン・イェーガーを奪還するため、リーブス会長に襲い掛かった……実行犯はエレンを連れて逃亡中と思われる。よって調査兵団は直ちに活動を停止。団員すべてに出頭を命じる。まぁ……我々の推測が間違っているならそれでいい。全団員が揃って無実を証明すればいい。それだけの話。」
――――さぞかし無念だったろう。
破綻寸前の街を――――救おうと、最後の最後までこのトロスト区に踏みとどまり、人々に仕事を結び付けた。
――――こんなにもあっけなく、殺されていいわけがない。
沸き起こる静かな怒りを、拳に込めて平静を装いながら―――――、王都へ連行されるべく、馬車に乗り込んだ。
自身の保身の為に―――――当たり前のように殺す。
そんな王政にこの世界を託すわけにいかない。
今はバラバラに動いている全てが重なるのは、もうすぐだ。
――――その時、彼らはどうするのか。
何を、選ぶのか。
そして彼らの決断を―――――、ザックレー総統は、ピクシス司令は、心臓を捧げる、兵士たちは………どう受け取るのか。
――――俺はただ、見守るのみだ。
調査兵団時期団長をハンジに任命した。
俺が例え死刑台に登ろうとも、俺達の志は潰えない。
ハンジに、リヴァイに――――、ナナに、104期の面々に。引き継がれていくはずだ。
――――こんな遺言めいたことを言ったら、君はまた怒るだろうか。
――――ナナ、どうしてる。
自分で遠ざけたはずなのに。
どうしても君に――――――――
会いたい。