第135章 伝心
「何より――――次の調査兵団団長はハンジ・ゾエ。お前だ。調査兵団を任せたぞ。」
ハンジは目を見開いて――――、そして悲しげに、小さく笑んだ。
「―――……君はつくづく、私に試練を与えるね。」
「………腹黒いからな、俺は。」
なつかしいやりとりを反芻して―――――、各々のやるべきことを遂行するために、道を分かつ。
「エルヴィン……、ピクシス司令との交渉は?」
「……決裂した。司令には頼るな。」
中央第一憲兵の出頭要請に応じて、人だかりのできた街の中心部へ向かう。
「エルヴィン・スミス。彼が誰かわかるな?」
そこに横たわっていたのは――――、翼の日にも握手を交わした。ナナが懇意にしていた――――、トロスト区のリーブス商会の会長の、変わり果てた姿だった。
「リーブス商会の会長、ディモ・リーブス氏だ。」
「彼とその部下を含める3名が山で殺されているのを発見した。全員鋭利な刃物で喉を掻っ切られていた。何も盗られておらず盗賊の仕業とは思えない……。訓練を受けた者の仕業だと考えられるが……エルヴィン。何か知ってることはあるか?」
――――回りくどい言い方をする。
「知っているのは今調査兵団が彼らを殺したと疑われているということだ。余計な言い回しをする必要はないからその根拠を教えてくれ。」
「……二日前にここで調査兵団が2名何者かに襲われたのを住民が目撃している。」
「ああ……憲兵団に報告し捜索を依頼した通りだ。」