第12章 壁外調査
壁外調査まであと三日。
この日も、エルヴィン団長の執務は膨大な量で……ひと段落してエルヴィン団長が伸びをする頃には、深夜を軽く回っていた。
「ナナ、もう戻っていいよ。遅くまで付き合わせて悪かったね。」
「いえ。エルヴィン団長はまだ仕事をされるのでしたら、なにかできることがあればお手伝いさせてください。」
「もう一段落ついたら私も休むよ。……そうだな、では最後にコーヒーを淹れてもらおうかな。」
「はい!」
エルヴィン団長はいつもブラックのコーヒーを飲む。私はふと思い立った。
「エルヴィン団長。お飲み物をお持ちしました。」
「ああ、ありがとう。」
私はコーヒーと共に、カモミールのハーブティーを並べた。
「……実は、コーヒーには覚醒作用がある飲み物なので、就寝前には向いていないんです。このあと、短い睡眠時間でより休息がとれるよう、安眠効果のあるハーブティーも淹れてみたのですが……。もし、お嫌いじゃなければ……。」
「紅茶か。いい香りだ。ありがたくいただくよ。」
エルヴィン団長が笑顔を見せてくれた。私は、嬉しくなった。