第12章 壁外調査
「そうだ、ナナ。」
朝食のときに、リンファが思い出したように声をかけてくれた。
「ん?」
「……もう感じとってるかもしれないけど、壁外調査前は気持ちが昂る奴が多い。死ぬかもしれないって思った時、本能が牙を剥くことがあるんだ。」
「うん。なんとなく……感じてた。」
「子孫を残そうという本能なのかわからないけど、女に手を出す奴が増えて来る時期だからね。こないだのこともある。……十分気をつけなよ。」
「わかった。って、リンファもでしょう?女の子なんだから。」
私にばかり真剣に注意を促すリンファに、私はおもわずくすっと笑ってしまった。
「なに言ってんの。私は……そんな心配ないから!」
「いやぁ、リンファさん自分じゃわかってないみたいだけど、美人なんだよ?……喋らなければ。」
アルルの言葉に、リンファがアルルの頭をパシッとはたいた。
「一言多いんだよ。」
私はこの二人と出会えて、本当に幸運だ。私も次こそは、二人と一緒に壁外調査に出て、少しでも二人の役に立ちたいと強く想った。